朝ドラ『おむすび』中間総括評論 B'z「イルミネーション」は “平成” をどう照らしたか?〔Real Sound〕




朝ドラ『おむすび』中間総括評論 B'z「イルミネーション」は “平成” をどう照らしたか?  Real Sound|リアルサウンド 映画部

NHK連続テレビ小説『おむすび』が始まってから1カ月が過ぎた。
前作の『虎に翼』が大好評だったゆえに両作は良くも悪くも比較されがちで、かつて『あまちゃん』のあとに『ごちそうさん』が放送された時期の構図と似ているという指摘もあるようだ。

しかし『虎に翼』と比べて云々とかいう以前に、この『おむすび』という物語の構造はそもそも複雑である。
この複雑さを踏まえて、おそらく序盤の展開がひと段落したであろう現段階(2024年11月初週)で、いちど本作を総括しておこうと思う。
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ただし、このような複数要素の “同時多発” 的な並立は、それ自体「平成」の比喩となるだろう。

そのことが “平成カルチャーの象徴” たるB'zが手がける主題歌「イルミネーション」とどのように結びつくのかを読み解くことで、現時点での「『おむすび』総括」を試みようと思う。
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「家業の継承」という現状維持的思考で生きてきた結が、「脱規範」的なギャルのポジティブな側面に接近することで、“夢を持てない” 少女の成熟が進行していくという構図だ。
そのことをB'zの「イルミネーション」が流れるあのオープニング映像が、視覚的に要約している。
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「イルミネーション」は何を照らしているか?
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前述したように、「イルミネーション」のオープニング映像が流れるとき、結はギャルになる=カラフルに染まることで平成を受け入れて成熟する。
そして「イルミネーション」がB'z=平成の象徴であるならば、このカラフルさ=緒ジャンルの複数性もまた「イルミネーション」である。
実際のイルミネーションが複数の光源を同時点滅させるように。
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ドラマ『おむすび』の物語構造は、一つひとつのメニューが「順番」に提供されるコース料理のような単線的なものというよりは、あらゆる具材と主食が同時に存在する「おむすび」としてのありかたであろう。



[おむすび] 主題歌 B'z「イルミネーション」オープニング(ノンクレジットVer.) | 朝ドラ | 連続テレビ小説 |
YouTube NHK (1分40秒)