「朝ドラらしいシーン」をわざと再現か…橋本環奈の朝ドラ『おむすび』に透けて見える「制作陣の意識」 : https://t.co/bgsISnWK75 #現代ビジネス
— 現代ビジネス (@gendai_biz) October 1, 2024
「朝ドラらしいシーン」をわざと再現か…橋本環奈の朝ドラ『おむすび』に透けて見える「制作陣の意識」
分水嶺は「昭和の戦争」
今回の朝ドラ『おむすび』は現代劇である。
主演は橋本環奈。
舞台は「平成のどまんなか」で平成16年(2004)から始まった。
どこをもって現代劇とするかはむずかしいところだが、朝ドラでいえば、昭和の戦争が入っているかどうかがひとつのポイントだろう。
:
「前向きに頑張る現代劇」がいきづまった理由
始まったのがまだ「戦後」と言っていいような昭和30年代であり、ヒロインも見ている人もだいたい戦争で恐ろしい目にあい、戦後に苦労してがんばった世代であった。
明治生まれの人の物語であっても、当時はまだ「現代の話」(ないしは現代と密接につながる話)であったのだ。
:
でも21世紀となると、そもそも戦争経験世代が少なくなってきて、いきづまってくる。
:
昭和ものは「時代もの」
2006年には、初めてヒロインのオーディションをとりやめ、宮崎あおいを指名してドラマを作った。
それが『純情きらり』である。これは昭和ものであった。
ここをきっかけに朝ドラが少し変わっていく。
:
じつは「心配なところ」
:
正直なところ『おかえりモネ』や『舞いあがれ!』は、時代ものに比べてややインパクトが弱かったので、そこのところが心配でもある。
それを意識してか、『おむすび』は第一話から「朝ドラらしいシーン」をわざと入れてきていた。
:
「お馴染みのシーン」をわざと再現?
父と母と祖父と祖母が並んで向かいあって食事をしている。
:
平成のころの朝ドラお馴染みのシーンを、わざと再現している、という感じがした。
食卓シーンのあとオープニング曲となって、自転車にまたがってヒロインが一人、高校に向かって漕いでいく。
これが見事な田園風景なのだ。
:
学校の帰りに、ヒロインは海辺に寄った。埠頭から海を眺めているシーンである。
:
そしてこの海辺で、小さい男の子が帽子を海に落としたのを見て、ヒロインは埠頭から飛び込んだ。
:
野球部との関わりが?
:
緊急性も必要もないのに海に飛び込むヒロインは、楽しみである。
無意味すぎておもしろい。
意味のあることをやろうとしてヒロインが突っ走ると、けっこう見ていられなくなることがあるので、なるたけこのナンセンス路線が維持されて欲しい。軽くばかばかしい朝ドラがいい。
たぶん昭和ものが主流のなかにはさまり、現代ものをまじめにストレートに描くと、ひょっとしたら弱いかもしれない、という意識が制作陣にあるのかもしれない。
この自分たちを俯瞰して眺める視点を意識しているようで、そこのところに期待したい。